建築・設計から耐震補強・リフォームのことは央設計事務所までご相談ください

石川県金沢市に生まれ育ち、大学進学のため東京に上京しました。 大学の設計課題でウルテック（丹下健三氏設計事務所）の主任建築家であった長島正充氏に出会い、その時の大変強い印象を胸に、師匠として師事いたしました。長島建築研究所が開設されると同時に電話番を兼ねたスタッフとして出発したのです。師匠一人に弟子一人です。これが　私が建築文化にかかわり、社会に一歩踏み出した当時の状況です。

師匠からは「建築のいろは」から始まり多くを教わりました。言葉にいい尽くせぬ恩義を感じ、また感謝をいたしております。なかでもよく注意されたのは、依頼主との綿密な会話と提案内容の丁寧な説明とそれに対する了承を得る事でした。これからも謙虚に耳を傾けたいと思っております。

私が還暦を迎えるその直前に、師匠が天寿を全ういたしました。わたくしは茫然自失の体でした。師匠に教わった事を次代に伝えていないという無力さと切迫感があるばかりです。私に出来ることと言えば、社会にたいして建築という分野で関わることしか出来ません。そんな中から自然に生まれたのが「地域の建築医」という事でした。総合病院の医師ではなく、地域の診療所の医師です。日常のちょっとした切り傷から流行病や限られた専門的な分野の手術までをこなす医師です。そのような「地域に根ざし信頼される建築医」なら、師匠からも後押ししてもらえそうだと思い直しました。

地域の人びとに受け入れられるかどうかはわかりませんが、歩一歩を踏み出したいと思います。多くの先人の思いと共に、将来の達人に伝えんと我が身を鼓舞しつつ。　拝